青天を衝け～感想～第37話
栄一、あがく。
まさに、あがいている回。
お千代を亡くしたことで、目も心も死んでいる栄一。
唯一、閉ざした心に綻びが出たのは、慶喜の前でだけ。
ぽろりと自然に流れ出る涙。
嗚咽をこらえようとして、こらえきれずに洩らしてしまう。
内側からこみ上げる悲しみを、ここまで表現できるとは！
吉沢さんの泣きの演技力の高さよ！！
シブ５時で草なぎさんが、このシーンを見て「素晴らしい」と、ひと言称えてくれたが、まさに、それ！
本当に素晴らしいよ！吉沢さん！！
岩崎の三菱との海運業での競り合いは、
余裕をなくした栄一が、徹底抗戦に舵を切り、ダンピング競争。
しかし、
「もちっと大きな目で日本を見んか！」
と五代さんに窘められても、ムキになる栄一。
伊藤さんには、岩崎さんを制裁してくれと訴えて、
「君からして卑怯なことをするようでは困るんじゃ。少し慎め」
と諫めてくれた。
この時の伊藤さんカッコイイ～！
障子を閉めてまわり他者の目線を隠してから、栄一を注意する。
それも上から目線ではなく、自身も「己を正しいとは思ってない」と言い切って。
そこでようやく少し冷静になる栄一。
「もっと大きな目で日本を見ていたのはあなたか…」
と、五代さんの言葉を反芻しつつ、将来初の内閣総理大臣になる匂わせ。
そんなさなかに、岩崎が亡くなる。
栄一と信念は違えど、日本を一等国にしたい！という信念を持ってビジネスに邁進し、一代で経済界トップに君臨したのは、素直にすごいと思う。
岩崎弥太郎が亡くなったことで、五代さんの仲介もあり、三菱と栄一の共同運輸も手打ち。
脚本の大森さんは、本当に五代さんがお気に入りなんだなぁ…と分かりやすすぎる寵愛。
「渋沢くん、日本を頼んだど」
栄一に未来を託して五代さま退場。
あと、忘れてはいけないのが、岩倉具視の最期ｗ
コメディパートになってはいたけれど、
「お上は民を愛しておられる」
その言葉には、胸がジンとしてしまった。
岩倉は岩倉で、お上のため、よい日本をつくろうとした。
明治の人は、人それぞれに信念を持って生ききったんだなぁ…と、しみじみ。
そして、渋沢ファミリーパートでは…
後妻さんの大島優子さん、登場。
ウシジマでは上手かった。教場では最後まで気づかず新人女優と思ってた。ネメシスではなぜかずっと田中みな実だと思って見てた…。
なので意外と印象うすい女優さんという印象。
そんな先入観で見たせいか、やすとの対面場面はちょっと演技演技しすぎに見えた。
役に入るより、演技に入ってしまった感。
そこが今後どうなっていくか…
「家政を任せたい」
という栄一は、兼子とは目を合わせることもせず、一方的にビジネスライクな物言い。
歌子が出産し、初孫を見ても、
「お千代に見せてやりたかった…」
と呟き、涙して、場を退く。
そこまでお千代お千代になってる栄一と、
浮気した栄一って、やっぱりブレてる気がする。
青天の栄一にはお妾さん問題省いたほう良かったわ。
違和感あるもの…（愚痴愚痴…）
そんな心が渇いていた栄一が、三菱との手打ちが決まって、徐々に冷静になっていく中で、突然の兼子からの離縁の申し出。
「えっ？」と虚を衝かれる栄一。この反応も吉沢さんうまい。
「私は一生かけても奥様の代わりにはなれません」
そう言われて、ようやく栄一も我に返ったのだろう。
「俺はどうしてもこの家を、家族を守りたい」
それが千代を失った栄一の本音、覚悟だったからこそ、
突然の離縁に、つい咄嗟に
「許さねぇ」と言ってしまうも、
「いや、ちがう。許してくれ」と、自分のほうから頭を下げた。
兼子もひとりの人間であることを再認識して、向き合い、家族を守るために協力してくれ、と。
そんな真剣な言い合いの中で、
「今みたいに、捨ててやるぞ、このへっぽこ野郎と叱ってくれ」
と、栄一らしい節回しが出たところで、ようやく栄一が元に戻ったな、ということが、視聴者には分かる。
栄一と向き合ったことで兼子は前を向く決意をし、笑顔になるも、
栄一には、まだ笑顔がない。
養育院の経営を、兼子や歌子とともに栄一が担うことになり、
訪れた養育院の部屋が綺麗に整頓されている様に、
在りし日の千代の姿を思い出す栄一。
それまでずっと死んだ顔のままだった栄一に、ようやく笑顔が戻る。
「お千代…見ていてくれ…」
と。
お千代を見て、笑顔に戻る栄一が、とても良かった。
視聴者が求めていたカタルシスをきっちりと表現してくれた感ｗ
そして、尺が足りないので、どんどん流れる月日。
あっという間に後妻との間に二人の男の子が生まれて、
篤二は17才の少年に。しかもなんかグレてる…。
次回は、この篤二くんにフィーチャーかな。
中の人的には、吉沢さんと同学年なんだよね。
泉澤くん…山田孝之の子役のイメージ強いけど、天才子役で演技のしっかりした俳優さん。
この共演も見ものだわ！！
