推しライフ徒然草

推し(吉沢亮さん)への愛と考察と妄言のつぶやき

青天を衝け~感想~第36話

栄一と千代。
もうタイトルから泣く!

うたのお見合いでは、栄一も普通の父親のごとく娘を嫁に出したくない感がw
それをたしなめるお千代のいい奥様ぶり。
そして、うたを見つめる栄一とお千代の長年連れ添ったいい夫婦感が、絵としても、空気としても画面から伝わってくる。
うたも栄一の血を継いでいると分かるお喋りで、それを微笑ましく受け止める穂積さんもナイスガイ!

結婚式では、喜作の親戚のおじさんっぷりと、よしの突っ込みに、伝蔵の掛け声ありと、久しぶりのおていちゃん登場で、血洗島の雰囲気がしみじみと感じられた。

そして、
若い二人を見て、いまのおのれを顧みる栄一。
「汚い大人になっちまった」
という栄一に、お千代が、幼い頃の見た夢のことを覚えているか?と問う。

ここで第4回の回想を持ってくるか~と、脚本&構成の妙!!

しかも、栄一もお千代も若い!
ドラマ内のこととはいえ、あの初々しい時代があったからこそ、
いまの年齢を経た演技をしっかりしているということが、はっきりと分かるシーンで、
吉沢さんも橋本愛ちゃんも、すごく良い役者だということがはっきりと分かる!!

「心の根っこは、あの頃とちっとも変ってない」
「お父様もお母様も、よくやったと、褒めて下さいますよ」
というお千代に、
「…お千代もか?」
と、素に戻ったように聞く栄一。

この吉沢さんの問い方が、とてもいい。
何も繕わずに本心から聞きたがり、そうだと言ってくれるか怖がっているようにも見える真摯な問いかけ。
お千代にしか見せない一面。

「へぇ、千代もです」
神々しいまでの笑顔で頷くお千代に、栄一も「そうか」と頷く。
そして、再度「そうか」と頷き、
「なら俺もいつまでもムベムベしてねぇで励まねばならねぇの」
と、普段の栄一に戻って、前向きになる。

なに、この夫婦、尊い!!

そこからの急転直下に涙・涙・涙

お千代が栄一の光りであるかのような演出が素晴らしい!
と思いつつ、冒頭からフラグ立ちまくりで逆につらかった。
演出は黒崎さん。
お千代への愛情がたっぷりにこめられていた。

幸せな家族の食卓から一転、
お千代がコレラに…

子供たちは感染しないよう遠ざけられ、
篤二に栄一が語りかける。
「あとでとっさまと一緒に草むしりしよう」
「いいことをすれば、母様もきっとよくなる」
もうここで涙。

そして、儚くなりそうな千代の肩を揺する栄一。

「死ぬな。お前がいなくては、俺は生きていけねぇ。
もう何もいらねぇ。
欲も全部捨てる。
お前さえいればいいんだ」

大切な誰かを失おうとする時、誰もが思うこと。
そして、
欲深いと夫婦で交わした会話の笑顔がここで効いてくる。
そんな欲も全部いらないから、お千代にいて欲しいと、すがる栄一。

「生きて…必ず…あなたの道を…」
いつもぐるぐるする胸の内にしたがって道を進んできた栄一の胸に手を当てて、最期の言葉を遺す千代。

命の灯が事切れる瞬間を手で表した演出。
平岡様の最期とも重なり、
突然の死を直接的にではなく間接的に表現。

力が失われた手を信じられないように、嘘だと思いたいように支え続けようとする栄一。
「逝くな…お千代…置いていかねぇでくれ!」
真に迫る言葉。
大切な人を失う辛さに胸がつまる。
渾身の演技。
号泣する栄一の声に、駆け寄ろうとする子供たちと、
懸命に止める医者と穂積さん。
栄一の慟哭は音を止めて、お千代の名を繰り返す栄一の口の動きのみ。
無音であることが、さらに悲しみを増す。

そして、
荼毘の炎を見つめる無音の数秒。
それだけで、画を保つことができる役者・吉沢亮の力量。
炎越しの茫然とした眼差しからは、この世の終わりを見ているような虚ろと嘆きが伝わってくる。
炎を境とした彼岸と此岸。生者であるのに幽鬼のように佇む栄一。
無音の中、眼差しのみで伝えてくる。
吉沢亮のビジュアルの良さも含めて、絵としてもハマっていた。
ビジュアルと演技力を兼ね備えた稀有な役者・吉沢亮だからこそ成り立つシーンだった。(ファンの欲目…)
それに続いて、お千代がいなくなったガランとした部屋を振り返る栄一の空しい寂しさが漂う姿もまた、非常にエモい演出。
おりた前髪の色気と哀愁のある見返りのひとコマが、これもまた一服の絵画のようにハマっていた。

演出の黒崎さんの、俳優・吉沢亮への信頼感がビシバシに伝わってくる。
吉沢さんの小さな囁く声さえも音声クリアにして拾いあげてくれてた。
吉沢さんの細やかな演技も取りこぼさずに演出&編集してくれている。
吉沢亮の栄一を、吉沢亮の演技を見てくれ!と言わんばかりの演出。

というより、栄一だけでなく、千代への愛情も、喜作やそれぞれ登場人物たちへの愛情を凄く感じる。
黒崎さんは役者の演技が大好きで、役者を信頼して託している感じがとてもする。
役者の間を大事にリスペクトしている感じもあり、それが余韻となって、余白を生んでいる気がする。
エモくなるのは当然なのかな。
役者としては、やりがいのある現場になっているんだろうなとしみじみと感じる。

そんな現場のいい空気と、互いに信頼しあって演技している出演者たちの呼吸が、感じられる。

今回、吉沢亮橋本愛という若い役者の素晴らしさが、ともに光った回でもあったと思う。

栄一と千代。
素晴らしすぎて…最高の夫婦を演じてくれたと思う。