絶妙な起用のタイミング

「一度死んでみた」の番宣で、
『朝ドラ主役の広瀬すずさんと、来年大河主役の吉沢亮さん、国民的俳優のお二人です！』
と、今でこそ紹介されるけど、
この映画の企画段階では、もちろん朝ドラも大河報道もまだなわけで、
吉沢さんにオファーがあったのは、いつぐらいの時期なんだろう？

『オファーがあった時は、既に、すずちゃん＆堤さんが決まっていた。』
と、雑誌で吉沢さんが言っていた。

すずちゃんは、以前から演技力のある若手女優と評されていたし、朝ドラ主役も既に決定していた時期（2017/11）だろうから、話題性もあるし、映画の主役に据えるのは、分かる。
堤さんも、コメディからシリアスまでこなせる実力派だし、過去CM起用の縁もあるだろうから、分かる。

さて、吉沢さんは？

浜崎監督は「リバーズ・エッジ」（2018/2）を見たと、言ってた。
脚本家・澤本さんは、
『この人（吉沢さん）、本当はコメディが好きなんだろうなっていう芝居をしてた』
と、ラジオで言ってたから、おそらく「斉木」（2017/10）を見たのかな？
その芝居を見て、『吉沢さんと一度仕事してみたいと思ってオファーした』と言ってた。
映画の撮影は「なつぞら」とほぼ同時期。
「なつぞら」のオーデションが、2018年1～2月頃。
ということは、やはり、同時期の2017年末～2018年2月くらいにオファーだったのかな？

もともとCM業界では有名なお二人である、澤本さん（ソフバン白戸家）と浜崎さん（au三太郎）。
ラジオを聞いた限りだと、映画のキャスティングに関しては、澤本さんがけっこう主導していた感じ。
端役に豪華キャストを揃えられるくらいのコネクションを持ちながら、セカンドクレジットに吉沢さんを指名。
映画の企画が、仮に2017年だとしたら、当時の吉沢さんだと、広瀬すず・堤真一と並ぶには知名度的に弱い感じがするけど、それでも『一緒に仕事してみたい』と思わせる何かが吉沢さんにはあったということなのかな？

「アオハライド」「オオカミ」「銀魂」「斉木」と続いて、2018年は8本の映画出演。
なつぞらの磯Pも、次に来る若手として周りから吉沢さんの名前が上がってたと言ってたし、
業界内ではネクストブレイクの若手として注目されてた、ということだよね。

その波みたいなものを、素早くキャッチして、起用し、
公開までの間に、なつぞら・キングダムでドカーンと当たって、
公開時には、ジャストなタイミングで、広瀬すず・堤真一と並んでも見劣りしない俳優に成長していた。
まさに、絶妙なタイミング。
ドンピシャに当てにくる嗅覚の鋭さは、やはり長年業界を牽引してきた者の為せるワザなのか。
吉沢さんの可能性を信じて起用してくれたお二人に感謝！

しかも、今作の吉沢さんの演技は、
福田監督のギャグっぽさとも、マイナビバイト侍のコミカルさとも、まったくちがって、
こんなコメディ演技もできるんだ！という新鮮な驚きもあったし、
浜崎監督も言ってたが、『キングダムとはホントに同じ人なのかな？』と思えるほど、
まったく別人のような演技。
現場に携わってくれた人が、驚いてくれたというのは、嬉しいことだね。

しかし…
惜しむらくは、コロナの影響で、興行収入的には大打撃。ということ。
でも、フジの映画でもあるので、いつか地上波で放送された時に、
まだ吉沢亮をよく知らない人に、「おっ？」と思ってもらえると思えば、
ニヤニヤとして、その日を待ちたいと思います！